【GENBAx点検 導入事例】「現場の技術者を、本来の仕事へ。」建設ディレクター×「GENBAx点検」で進める廣瀨の働き方改革

2026/09/10
導入事例

建設業界で、施工管理担当者の業務負担を軽減する存在として注目されている「建設ディレクター」。

株式会社廣瀨様では、現場をバックオフィスから支援する役割を「AD(アシスタントディレクター)」と呼び、安全書類の作成支援や電子納品、各種システムの運用などを本社から遠隔でサポートしています。

そのADの運用を支えているシステムのひとつが「GENBAx点検」です。

ADが点検表のマスター作成や機械登録などの準備を担い、施工管理担当者は現場で点検状況を確認する。単に紙の点検表をデジタルに置き換えるだけではなく、「誰がその業務を担うのか」まで見直すことで、DXを現場の新たな負担にしない仕組みをつくっています。

すでに建設ディレクターのような職域を設けている企業にとっては、DXツールをどのように現場へ展開し、運用していくのか。まだそうした職域を設けていない企業にとっては、施工管理担当者が抱えている仕事をどのように分担できるのか。

土木事業部 工事システム管理部 ICT推進室の三上様、ADとして現場を支援する齋藤様・佐藤様、施工管理を担当する月岡様に、「GENBAx点検」の導入と運用、そして建設ディレクターの役割とDXを組み合わせた働き方について伺いました。

紙をPDFにするのではなく、「本当のペーパーレス」へ

左から 三上様、月岡様、齋藤様
左から 三上様、月岡様、齋藤様

SORABITOGENBAx点検」を導入した背景を教えてください。

三上様:当時、導入検討を進めていたメンバーから、以前からペーパーレスで運用できる点検表を探していたと聞いています。

当社では会社を挙げてペーパーレス化を進めていましたが、重機の点検表は紙のままでした。現場によって重機の数も違いますが、かなりの枚数になりますし、毎日ボールペンでチェックするのも手間になります。検査の際には、紙の点検表をスキャンしてPDFにし、画面で見せることもありました。ただ、最初に紙を作って、それをスキャンしている。それでは本当の意味でのペーパーレスではない、という思いもありました。

いくつかのサービスを比較・検討しましたが、「GENBAx点検」は一般的な重機の点検表だけでなく、当社独自の書式にも対応できたことが大きかったですね。

「GENBAx点検」では、当社で使用していた主要な点検表について、導入時にSORABITOさんにマスター登録を支援してもらえたことも大きかったです。最初からすべて自分たちで準備するのではなく、まず使える状態をつくってもらい、トライアルで実際の現場に合うかを確認できました。

他のサービスも一部試しましたが、必要な点検項目が十分ではなく、現場で使うのは難しいという意見もありました。その点、当社の運用に合わせて柔軟に対応してもらえたことが導入の後押しになりました。

点検状況を画面で確認。紙にはなかった「途中が見える」メリット

SORABITO実際に紙の点検表から「GENBAx点検」に変わって、現場ではどのような変化がありましたか?

月岡様:紙の場合は、月初に点検表を用意して、月末に回収する運用でした。ただ、回収は月末でも、点検漏れがないかは日々確認しておく必要があります。

補修が必要な箇所が見つかったときには、現場から都度報告してもらわなければならず、そのやり取りにも手間がかかっていました。

重機が増えればその分だけ点検表も増えますので、確認と報告の負担は大きくなります。

「GENBAx点検」になって大きく変わったのは、点検状況を画面ですぐ確認できることですね。未実施のものがあれば早い段階で気づけるので、「ここをまだ点検していないので、確認をお願いします」と、その場で作業員さんに伝えられます。一つの画面で状況が分かるので、とても助かっています。

SORABITO点検を行う作業員の方からの反応はいかがですか?

月岡様:作業員さんから評判が良いのは、前回入力した情報を次回の点検に反映できる機能ですね。毎回すべてを一から入力する必要がなくなるので、使い方を覚えてもらえればかなり楽になります。

スマートフォンの操作に慣れていない方には、最初に使い方を説明する必要がありますが、一度覚えてしまえば、その後は継続して使ってもらえています。

「GENBAx点検」の運用を支える「AD」という存在

SORABITO「GENBAx点検」の準備や運用は、どのように分担しているのでしょうか?

齋藤様:私たちADは、現場の安全書類のサポートやシステム関係の運用、工事完成時の電子納品などを担当しています。

基本的には本社から遠隔で各現場を支援していて、一人あたり5〜7現場ほどを担当しています。

現在、土木事業部にはADが5名いて、「GENBAx点検」についても、普段の点検表の出力や機械登録などの日常的な運用は全員ができるようにしています。

点検マスターの作成は少し複雑なので、今は主に私ともう一人が対応していますが、ほかのメンバーにも少しずつ教えています。

私自身、入社当初は勉強も兼ねて現場に常駐していて、「GENBAx点検」の導入初期にも関わりました。現場で作業員さんに使い方を説明していた時のことも分かりますし、今は本社から支援する側も経験しています。

左から 齋藤様、佐藤様
左から 齋藤様、佐藤様

「この点検表も使いたい」を、ADがすぐ形にする

SORABITO点検表について現場から要望が出た場合は、どのように対応していますか?

齋藤様:現場から「この点検表はありますか」と聞かれて、なければ「マスターを作るので、元にしたい点検項目を送ってください」とお願いして作っています。既存の点検表についても、実際に使っていく中で「ここは変えた方がいいよね」という意見が出れば、修正版を作ることがあります。

ADで全現場をカバーしているので、ある現場から出た意見をAD内ですぐ共有できるのも大きいです。「ほかの現場でも同じことを思っていた」となればマスターを改良しますし、新しいものを登録した場合は、社内チャットで周知しています。

SORABITO現場で出た改善案を、自社ですぐ反映できるのですね。

三上様:そうですね。当社の点検表も、すべてが固定されているわけではありません。

標準があって、現場で必要な項目が追加され、それが良ければほかの現場にも広がって、また改善されていく。

齋藤がマスターを扱えるようになったことで、外部に修正を依頼して待つタイムラグがなくなりました。現場から「こうしてほしい」と言われれば、その日のうちに対応できることもあります。それなら、現場側も改善要望を出しやすいですよね。

既存マスターなら点検対象1件の準備は2〜3分、ADが現場ですぐ使える状態を準備

SORABITO新しい現場で「GENBAx点検」を使い始める際、準備にはどのくらい時間がかかりますか?

齋藤様:今はすでにマスターが登録されているものがほとんどなので、点検対象を一つ登録するだけなら2〜3分くらいです。点検表を選んで、管理番号や使用する会社を登録して、QRを発行します。現場によっては、そのQRを社内チャットで送って、現場側で印刷してもらいます。まったく新しい点検マスターを一から作る場合でも、点検項目の数によりますが、1時間くらいあれば作れるものが多いですね。

SORABITOすべてADが行うのでしょうか?

齋藤様:そこは現場によって変えています。「GENBAx点検」に慣れている現場であれば、現場側で機械の登録やQRの発行までやってもらいます。

一方、まだ操作に慣れていない現場であれば、「この機械を登録してください」とADに連絡をもらって、こちらで登録してQRを送るところまで支援します。

現場の状況や習熟度に合わせて、サポートする内容を細かく変えています。

建設業の2024年問題をきっかけに、「仕事を分ける」仕組みをつくる

SORABITOそもそも、なぜ廣瀨様ではADという職域を設けたのでしょうか?

三上様:大きなきっかけは、建設業の2024年問題への対応です。現場に「残業するな」と言うだけでは、会社として無責任ですよね。

だったら、それまで施工管理担当者が抱えていた仕事を分担して、現場の負担を減らす部署をつくろう、という考えです。

実際に工事に関係する書類を細かく整理してみると、180〜200近いものがありました。それをすべて現場の人が抱えるのではなく、現場でなければできない仕事と、バックオフィスでもできる仕事に分けていく。そういう考え方でADの取り組みを進めています。

ADとの業務分担で、残業時間は月30〜40時間から月10時間未満に

SORABITOADができたことで、施工管理担当者の働き方は実際に変わりましたか?

月岡様:かなり変わりましたね。以前は、8時から16時、16時半くらいまでは現場にいて、そこから安全書類を作ったり、その日に撮った写真をまとめたりしていました。

細かな仕事がたくさんあるので、帰るのが18時、19時、場合によっては20時になることもありました。月30〜40時間くらい残業するのは当たり前という感覚でした。

今はADの皆さんに、「この安全書類をお願いします」「写真をフォルダに入れておくので振り分けをお願いします」と頼めるようになりました。

その結果、今では残業は月10時間にも満たないくらいです。

特に若手に振られることの多かった細かな仕事が減ったことは大きいです。

「GENBAx点検」だけではありませんが、ADの皆さんが支援してくれるようになったことで残業時間が減って、趣味に使える時間も取れるようになりました。「GENBAx点検」にもADの皆さんにも助けてもらっています。

社内に「詳しい人」をつくることで、DXを横展開する

SORABITO新しいDXツールを社内に広げていくうえで、重要だと感じることはありますか?

佐藤様:ADの中では、齋藤さんが「GENBAx点検」の“先生”のような存在になっていて、分からないことがあれば何でも聞くことができます。

新しいシステムを導入すると、分からないことがあるたびに自分でマニュアルを調べたり、問い合わせたりする必要がありますよね。

でも、社内に一人でも詳しい人がいれば、その人に聞くことができます。

そういう人が一人いることで、周りのメンバーも覚えやすくなりますし、新しいサービスも社内へ広げやすくなると思います。

建設ディレクター×DXで、「システム管理」を現場の新たな負担にしない

SORABITO「GENBAx点検」とADという役割の組み合わせについて、齋藤様はどのように感じていますか?

齋藤様:点検マスターの登録を、実際に現場管理している皆さんがやるとなると、結構大変だと思います。昼間は現場に出ていて、夕方疲れて帰ってきてからマスターを作る。それでは、せっかくデジタル化しても現場の負担になってしまいます。

だから、点検マスターの管理などは、昼間に作業できる私たちADがバックで整えて、現場側はすぐに使える状態にする。

そういう形が理想なのかなと思っています。

SORABITOすでに建設ディレクターのような職域を設けている企業であれば、「GENBAx点検」のマスター管理や点検対象の登録、現場への展開といった業務は、バックオフィス側に任せられる具体的な業務のひとつになりますね。

一方で、まだ建設ディレクターを設けていない企業にとっても、廣瀨様の取り組みは、「施工管理担当者が行っている仕事は、本当にすべて現場でなければできないのか」を考えるきっかけになりそうです。

点検表の準備、書類整理、システム登録、データ保存。仕事を一度分解し、現場で担う仕事とバックオフィスで担える仕事に分けていく。そうした考え方が、働き方を変える第一歩になるのかもしれませんね。

DXは、まず「やってみる」ことから

SORABITOこれから点検業務のデジタル化を検討する企業へ、アドバイスをお願いします。

齋藤様:まずは、やってみることだと思います。

デジタルに比較的抵抗のない人から使い始めてもらって、その人がほかの人に教えて、少しずつ広げていくのがいいと思います。

三上様:新しいことを始めるのは、どうしても「面倒そうだな」と感じるものだと思います。今のやり方でも仕事はできますからね。

でも、今回はトライアルがあったので、「まずやってみよう」と気軽に試すことができました。分からない時にはサポートしてもらえましたし、実際に触ってみると、思っていたより簡単でした。あまり難しく考えず、トライアルできるのであれば、まず試してみる。それがいいんじゃないでしょうか。

「現場の技術者が、本来の仕事に専念できる環境を整えたい」

SORABITO最後に、ADやDXの取り組みを通じて、今後どのような現場を目指していきたいですか?

三上様:当社では、ADの取り組みだけでなく、「GENBAx点検」のようなDXの取り組みにも共通して、現場の技術者が本来の仕事に専念できる環境を整えていきたい、という考えがあります。

DXにどんどん挑戦していくことで、現場の技術者が、本来の「良いものを、安く、早く作る」という本業に戻る。そして、そこに専念できる環境を整えていきたい。

「GENBAx点検」に代表されるDXサービスも、そのための一助になっていると思っています。

編集後記:建設ディレクターとDXで、「現場を本来の仕事へ」

今回のインタビューで印象的だったのは、「GENBAx点検」が単独のDXツールとしてではなく、ADという現場支援の仕組みと組み合わせて運用されていることでした。

ADが点検の準備や運用を支え、施工管理担当者は現場でしかできない仕事に集中する。廣瀨様の取り組みからは、DXと仕事の分担を一緒に考えることの大切さが見えてきます。

すでに建設ディレクターがいる企業にとっては、点検業務のデジタル化は新たな活躍の場に。まだそうした職域がない企業にとっては、「現場の仕事をどう分けるか」を考えるきっかけになるかもしれません。

現場の技術者が、本来の仕事に専念できる環境をつくる。

廣瀨様の「建設ディレクター×DX」の取り組みは、そのためのひとつの具体的な形を示しています。

導入企業紹介

社名:株式会社廣瀨 代表取締役:廣瀨 徳男 本社所在地:新潟市西区善久823番地 創業:1954年2月 URL:https://www.n-hirose.co.jp/

一般社団法人 建設ディレクター協会について

「建設ディレクター育成講座」は、建設業に従事する若手層・女性社員・新規雇用者を対象に、建設業のオフィスで働き活躍する環境を支援する教育システムです。 https://kensetsudirector.com/