紙の点検表をなくした先に生まれた、現場の責任感。 中川船舶が「i-Rental 点検」で進める、船舶点検のデジタル化

2026/06/30
導入事例

東京都中央区月島に本社を構える株式会社 中川船舶は、河川工事や海上運搬を中心に事業を展開する企業です。クレーン船やバックホウ船などを活用し、東京湾内や主要河川での護岸工事、橋梁の耐震補強工事、浚渫工事などを支えています。

同社では従来、船舶ごとに紙の点検表を配布し、現場で日々の点検結果を記録していました。点検自体は日々実施されていたものの、事務所側で状況を把握する際には、一定期間分の紙の点検表をまとめて確認する運用となっていました。また、元請会社への提出時には、紙の点検表を確認し、コピーして提出する必要がありました。

こうした課題を解決するために導入されたのが、「i-Rental 点検」です。点検記録や修理履歴が見えるようになっただけでなく、船ごとに担当者を決めて月例点検を行う運用へと発展。現場では「自分が見る船」という意識が芽生え、気づいた不具合を自ら報告する動きも生まれています。

今回は、株式会社 中川船舶 工事部 土木部長の永山様に、導入背景や現場への定着、導入後に生まれた意識の変化について伺いました。


中川船舶の事業内容について教えてください

永山様:当社の仕事は、9割以上が公共工事に関わる河川工事です。元請会社が公共工事を受注し、私たち施工会社が実際の施工を担う形が多いですね。 主な工事は、東京都内の護岸の耐震補強工事や、橋梁の耐震補強工事などです。建設業ではありますが、当社の場合は船の上にクレーンが載っていたり、河川を掘るためのバックホウが載っていたりする船を使います。陸上からアクセスできない場所に、海上や河川側から入って工事を行う会社です。

普段どのような業務を担当されていますか

永山様:工事部で土木部長を務めています。船舶の配船、書類関係の作成、安全関係の管理などを担当しています。現場が円滑に進むように、船や人員の調整をしたり、安全面で必要な確認をしたりする立場です。

DX推進のきっかけと、これまでの取り組みについて教えてください

永山様:もともとは、各担当者がそれぞれ自分のパソコンの中で、現場管理や請求管理をしていました。それを2年ほど前から、みんなで共有できるようにクラウド上で管理するようにしたのが、最初のきっかけです。 事務所レベルで情報を共有できるようになったことで、「現場側とも、これまで紙でやっていた点検をデジタル化できないか」という話になりました。事務所からいつでも確認できて、必要があれば元請会社にもすぐ提出できるようにしたい。そういう流れで、点検業務のデジタル化を進めることになりました。

SORABITO:「i-Rental 点検」を知ったきっかけは何だったのでしょうか。

永山様:きっかけは、社長が展示会でSORABITOさんのブースに立ち寄ったことです。そこで話を聞いて、「これ、いいんじゃないか」ということになりました。 最初は「試しにやってみようか」という感じでした。他のサービスと細かく比較したというよりは、まずはやってみて、自社に合うかどうかを見てみようという進め方でした。その後、実際の運用方法や現場への落とし込みについて、私が引き継ぐ形で進めていきました。

導入前の運用と課題について教えてください

SORABITO:導入前、船舶の点検はどのように管理されていたのでしょうか。

永山様:以前は、船舶ごとに紙の点検表を用意し、年度ごとに配布・回収・保管を行っていました。30隻分の点検表を準備する必要があるため、管理にも手間がかかっていました。 また、点検結果は各船の紙の点検表に記録されていたため、事務所側で状況を確認する際や、元請会社から点検簿の提出を求められた際には、紙の点検表を確認し、必要な記録をコピーして提出する必要がありました。

SORABITO:30隻分となると、準備や保管も大変そうですね。

永山様:そうですね。30隻分のファイルを毎年用意して、船名を入れて、カレンダーも直して、コピーして、それぞれの船に配る。さらに回収した後は保管しなければなりません。保管場所も取りますし、準備作業だけでもかなり手間がかかっていました。

導入時に、特に心配していたことはありますか

永山様:一番心配だったのは、実際に使うのが現場の職人さんたちだということです。20代の若い人もいれば、60代、70代の経験豊富な方もいます。スマートフォンで点検するとなった時に、全員が使えるのかどうかは不安でした。 また、紙の点検表では、点検結果を記録していても、事務所側でその日の状況をすぐに把握しづらい面がありました。i-Rental 点検を導入することで、点検状況を事務所側でも確認できるようになり、点検記録の確認や抜け漏れ防止につなげられる点は大きいと感じました。

SORABITO:現場の方々から反対意見はありましたか。

永山様:ありましたね。最初は半分以上が「紙でいいじゃないか」という反応だったと思います。 「なぜ紙ではダメなのか」「新しいことを覚えるのが面倒だ」「スマホの画面が小さくて見づらい」といった声もありました。 その時に説明したのは、紙の紛失リスクをなくせること、事務所側でリアルタイムに確認できること、提出が容易になることです。必要な記録をすぐに見せられるようになる。それを伝えました。 最初は首をかしげながらのスタートでしたが、慣れてしまえば、紙に丸をつけるか、スマホでOKを押すかの違いです。今では大きな質問もほとんど出てこなくなりました。

運用を定着させるうえで、工夫したことはありますか

永山様:いきなり全部をやろうとしなかったことです。 最初は「始業前点検だけにしましょう」と提案いただきました。修理報告なども含めて一度に覚えてもらおうとすると、もともと抵抗感のある人たちが「そんなに覚えられない」となってしまう可能性がありました。 そこで、まずは始業前点検だけを覚えてもらう。その後、修理した時の修理報告を追加する。さらに直近では、月例点検もi-Rental 点検で行うようにしました。

少しずつ、段階を踏んで進めたことが大きかったと思います。最初から全部デジタル化しようとすると、現場が構えてしまいます。小出しにして、気づいたらいろいろなことがデジタル化されていて、便利になっている。そういう進め方が、中川船舶には合っていました。

SORABITO:現場への説明はどのように進めたのでしょうか。

永山様:最初は社員だけで説明を受けました。その数日後に、実際に当社の船に乗る協力会社の方々にも説明していただきました。2段階で導入した形です。 説明は、SORABITOの中野さんに来ていただいて、スマートフォンの画面を見せながら「ここを押してください」という形で進めました。その後は、職人同士で「これ、どうやるんだっけ」と聞き合うようにもなりました。現場内で教え合う流れができたことも、定着につながったと思います。

現場で運用を完結させることは小さいようで大きく、顧客との合意形成の確度や納得感、説明責任を果たすことでの信頼感、品質の担保に効いてきます。点検表が社外提示に耐える証跡として整うことで、元請企業・現場監督ともその場で合意しやすくなり、再説明や再訪問が減少します。品質・保全部門では、写真とメモの証跡をもとに是正指示や監査対応が迅速になります。さらに、営業・経理は点検表を請求根拠やトラブル予防の資料として活用でき、結果として段取りがスムーズに回るようになります。

導入後、業務はどのように変わりましたか

永山様:まず、紙の点検表を作る作業がなくなったことは大きいです。以前は30隻分の点検表をコピーして、船名を入れて、ファイルにして配布していました。今はその作業がありません。回収や保管の手間も減りました。 また、事務所側で点検状況を確認できるようになりました。以前は船に置いてある紙を見ないと分かりませんでしたが、今は事務所にいながら確認できます。 元請会社へ提出する時も便利になりました。点検記録をデータで出せるのでスムーズです。必要なものをすぐに提出できる状態になったことが大事だと思っています。

SORABITO:現場と事務所の間で、情報共有のあり方も変わりましたか。

永山様:変わりましたね。事務所側で「今日はこの船が動いているはずなのに、まだ点検記録が登録されていない」と確認できるようになりました。 点検を忘れてしまう人がいる場合も、早い段階で気づいて声をかけることができます。これまでは後からまとめて確認していた点検状況を、日々の運用の中で把握できるようになったことは大きな変化です。 今は事務所側でも状況を把握できるので、点検の抜け漏れ防止につながっていると思います。

紙をなくしただけでは終わらない。次に始まったのは「担当船」という考え方

「i-Rental 点検」の導入後、中川船舶では新たな取り組みが始まりました。それが、船ごとに担当者を決めることでした。 これまでは、現場や配船の都合上、特定の人が常に同じ船に乗るとは限りませんでした。そのため、「この船は誰の担当」と明確に決めることは難しいと考えられていました。 しかし、現場から「船ごとに担当者を決め、状態を継続的に把握できる体制にした方がいいのではないか」という声が上がります。この一言が、運用を変えるきっかけになりました。

SORABITO:船ごとの担当者を決めたことで、何が変わりましたか。

永山様:必ずその人が乗れなくてもいい。なるべく担当者が乗るようにしつつ、別の人が乗って調子が悪いところに気づいたら、担当者に報告する。そうすれば、どこを修理しているのか、どこが調子悪いのか、ロープが足りないのか、クレーンにどういう癖があるのか、把握しやすくなります。 そして、担当を決めたことで、任されている感覚が出たと思います。 今までは、みんなで乗る船なので、少し無関心になってしまう面もありました。でも担当を決めると、「この船は自分が見る船だ」という意識が生まれます。別の人が乗る場合でも、「今日は誰々さんの担当船に乗るから気をつけよう」という意識になります。 実際に、船長から「手すりがガタガタしているので直していいですか」と提案がありました。以前であれば、「危ないな」と思って終わっていたかもしれません。でも今は、自分たちで気づいて、直す提案が出てくるようになりました。これは大きな変化です。

SORABITO:単なる効率化だけではなく、安全性や点検の質にもつながっているのですね。

永山様:そう思います。点検表をデジタル化して終わりではなく、担当を決めて、月例点検を仕組み化することで、必ずそこに意識が向くようになります。 自分が見る船だという責任感が生まれる。周りの人も、担当者がいる船だと意識して乗る。そういう小さな変化が、故障の早期発見や事故防止につながっていくと思います。 効率化ももちろん大事ですが、点検に対する意識や責任感が高まることは、安全を守るうえで非常に大きいと感じています。

月例点検もデジタル化。紙でやってみたからこそ、手間の大きさが分かった

SORABITO:月例点検を「i-Rental 点検」で行うようになった経緯も教えてください。

永山様:船の担当者を決めたことで、「毎月1回、自分の担当船を自分で点検してもらおう」と考えました。調子が悪いところがあれば、修理欄で報告してもらう。そういう運用を始めたんです。 当初は紙で実施しました。全船分の月例点検表を作って、それぞれの船名を入れて、みんなに配って、また回収する。やってみたら、これがとても大変でした。 「この運用を毎月続けるのは負担が大きい」と感じ、SORABITOさんに相談し、今月から「i-Rental 点検」で月例点検を始めることができました。

SORABITO:紙での運用とデジタル運用の違いを、改めて実感されたのですね。

永山様:そうですね。紙でやると、準備も回収も管理も大変です。デジタルでできるようになると、そこが大きく変わります。 それに、月例点検は単なる書類作成ではありません。自分の担当船を見て、気づいたことを残す。修理が必要なところを報告する。そういう運用にすることで、船の状態を継続的に見られるようになります。

デジタル化は、小さく始めて、段階的に広げることが大切

SORABITO:これから点検業務や安全管理のデジタル化を検討する企業に向けて、アドバイスはありますか。

永山様:小さく始めることが大事だと思います。 最初から全部を変えようとすると、現場が混乱します。特にアナログな業務が多い会社や、年齢層が幅広い職場では、いきなり多くの機能を使ってもらうのは難しいと思います。 当社の場合も、まずは始業前点検だけ。次に修理報告。さらに月例点検。そうやって段階的に広げていきました。

最初にSORABITOさんから「まずは始業前点検だけにしましょう」と提案してもらえたのは大きかったです。一度にいろいろ覚えてもらうのではなく、少しずつ使う範囲を広げていけたことで、現場にも無理なく浸透させることができました。 月例点検を「i-Rental 点検」で行いたいと相談した時も、すぐに対応してもらえました。導入したら終わりではなく、その後も現場の状況に合わせて一緒に考えてもらえることは、定着させるうえで大きかったと思います。

あとは、導入前にしっかりすり合わせをすることです。自社では何をしたいのか、どこに困っているのか、どういう運用にしたいのかを伝えて、一緒に運用方法を考えていく。できること、できないことを確認しながら進めることで、安心して導入できると思います。

編集後記:効率化の先に、安全を守る意識が育っていく

今回のインタビューで印象的だったのは、「i-Rental 点検」の導入が、単なる「紙の点検表のデジタル化」にとどまっていないことです。

点検状況を事務所から確認でき、必要な記録をすぐ提出できるようになったことは、分かりやすい効果です。一方で、中川船舶様では、船ごとに担当者を決めたことで「自分が見る船」という意識も生まれています。

点検記録を残しやすくすることは、業務効率化だけでなく、設備や安全に目を向けるきっかけにもなります。中川船舶様の取り組みは、日常点検のデジタル化が、現場の安全文化を支える一歩になり得ることを示しています。

SORABITOでは、建機レンタル会社をはじめ、日常点検や修理履歴の管理に課題を抱える企業様に向けて、現場と管理部門の双方にとって使いやすい運用づくりをサポートしています。

「紙の点検表の管理を見直したい」「点検の抜け漏れを防ぎたい」「修理履歴を後から確認できるようにしたい」とお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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導入企業紹介

社名:株式会社 中川船舶 代表者:代表取締役 中川 貢一 本社所在地:東京都中央区月島1-2-11 設立:1968年4月 URL:https://www.nship.info/


「i-Rental 点検」とは

「i-Rental 点検」は、建設機械をはじめとした各種車両の点検表をペーパーレス化するサービスです。本サービスでは、1台の建設機械・車両に対して複数の点検結果、修理結果と写真を一括管理できるほか、点検種類(出庫点検、入庫点検、簡易点検、定期点検など)を任意にカスタマイズできるため、建機レンタル事業における点検業務の実態に即した運用が実現できます。スマートフォンやタブレット、パソコンなど、マルチデバイス対応となっており、整備士だけでなく、点検業務の管理者や貸出業務を担当するフロント担当などの内勤スタッフによる利用、営業担当による外部からのアクセスを可能にするなど、レンタル事業に関わるすべての方に使いやすい環境を提供しています。点検結果の登録作業の効率化、点検履歴検索の効率化のほか、点検・修理情報のリアルタイム共有などに寄与します。

また、2026年1月に法定の「特定自主検査(以下、特自検)」に対応した新機能を正式にリリース。公益社団法人建設荷役車両安全技術協会(以下、建荷協)の指定様式に準拠した検査表の作成が可能になりました。

従来の「特定自主検査指針」が「特定自主検査基準」へと格上げされ、より厳格な検査実施と記録管理が求められることを背景に、ITの力で企業のコンプライアンス(法令遵守)体制強化と現場の負担軽減を両立させ、現場の安全DXの推進に貢献します。

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