「DXって、結局大手の話でしょう?」──建設業界でDXの話題になると、こんな声がよく聞こえてきます。システム導入のコスト、専門人材の確保、現場への定着……確かにハードルは高い。でも、もし地域の中小ゼネコンが5年間のDX推進で残業時間を57%削減し、新卒採用を安定化させ、国土交通省から相次いで表彰されるまでになったとしたら、どうでしょうか。
2026年5月21日、大阪で開催された「産業DX大阪展」のtechアイランド共同ブースにて、SORABITO株式会社はセミナーを開催しました。富山県を拠点とする「株式会社岡部」のデジタルイノベーション部・岡沢浩樹様をお招きし、建設業界のDX推進のリアルをたっぷりとお話しいただきました。
本レポートでは、当日のセミナー内容を余すことなくまとめています。DXをどう始めるか迷っている方、具体的な効果を知りたい方、「GENBAx点検」や岡部のDX支援サービスに関心のある方──ぜひ最後までお読みください。
登壇者・株式会社岡部の紹介
岡沢浩樹 様(株式会社岡部 デジタルイノベーション部)
「本日は、地域の中小建設会社である私たちが、DXの取り組みによって残業時間を約50%削減しながら、業績や評価を上げてきた実例をご紹介します。「DXって結局、大手の話でしょう?」そんな方にこそ聞いていただきたい内容です。」
岡沢様は株式会社岡部のデジタルイノベーション部に所属し、DX推進の中心を担っています。実際の施工現場の経験と、IT・システム構築の両方の知識を持つ希少な人材で、その実践的な語り口が参加者の共感を呼びました。

DX化で得られた主な成果
岡沢様はセミナーの冒頭で、DX化によって得られた成果を先に提示しました。これが大手企業ではなく、地域の中小企業が本気で取り組んだ結果であることが実証されました。
・残業時間50%以上削減(土木ソリューション部では57%削減を達成)
・書類業務時間の30%削減(大型工事で約600時間分の圧縮に成功)
・工事評点の平均80点以上を安定して維持
・新卒採用の安定化と定着率100%(2025年11月時点)
・国交省工事成績優秀企業5年連続・ICT関連企業認定8年連続・インフラDX大賞優秀賞など、多数受賞
建設土木業界が抱える課題
慢性的な人手不足と深刻な高齢化
「建設業界の課題について、改めてデータを共有したいと思います」と岡沢様。国土交通省の資料をもとに、業界の現状が語られました。
建設業の就労者数は長期的に減少傾向にあります。特に深刻なのが年齢構成で、29歳以下の若手はわずか11.6%。一方、55歳以上の技能者は全体の25.7%を占めており、高齢化が急速に進んでいます。このままでは10〜15年後には、多くの現場で深刻な技術者不足が発生することは避けられません。
若者が建設業を選ばない理由
なぜ若者が建設業を選ばないのか。その実態を示すデータも紹介されました。
「建設土木業を受けようと思っている、または受けたと答えた若者はたったの4.8%。受けるかもしれないと合わせても26.3%しかいません(22〜25卒対象の業界別イメージ調査より)。業界のイメージを根本から変えていく必要があります。」
若者が建設業に抱くネガティブなイメージの主なものとして、3K(きつい・きたない・きけん)、労働時間・残業の多さ、アナログ文化(紙・FAX)、男の仕事・力仕事というイメージが挙げられました。「最近はAI時代でブルーカラーへの注目も高まっていますが、まだまだこういったイメージが根強く残っています」と岡沢様は認めながらも、このイメージを変えることは十分に可能だと続けました。
「DXをやらない=若者から選ばれない」という現実
中でも岡沢様が強調したのが、DX化と若手採用の直接的な関係です。株式会社カミナシの調査によると、衝撃的な事実が明らかになっています。
・Z世代の約9割は「DXが進んでいない会社には入りたくない」と感じている
・新卒で入社した企業でDX化が進んでいないと感じているZ世代は5割以上
・退職・転職経験者の約6割の前職は「DX化が進んでいなかった」
「つまり、DXを進めない=若者から選ばれない、ということです。DXは採用競争力の問題でもあります。これはもはや「やるかやらないか」の選択ではなく、企業として生き残るための必須条件です。」
この言葉は、会場に大きなインパクトを与えました。DXを単なる業務効率化ではなく、採用・定着・企業の未来につながる経営課題として位置づけるという視点の転換。これが岡部のDX推進の根幹にある考え方です。
岡部のDX戦略:ハイブリッド型推進という考え方
2021年、DX推進を本格化
岡部がDXへの本格的な取り組みを開始したのは2021年、今から5年前のことです。もちろん、最初からスムーズにいったわけではありませんでした。
「建設業の現場は自然相手なので、当初の想定通りに進まないことが多い。一元管理のシステムが合わない場合も多くて、何度も導入してやめてを繰り返してしまいました。」
建設業特有の難しさは、現場ごとに異なる条件と柔軟な対応が求められるという点にあります。標準化されたシステムをそのまま導入しても、現場の実態に合わないことが多い。この「合わない問題」を乗り越えるために、岡部は独自のアプローチを模索し続けました。
ハイブリッド型DX推進という発想
試行錯誤の末に辿り着いたのが、「ハイブリッド型DX推進」という考え方です。
「DXはシステムを入れることじゃないんです。本来の業務目的を達成するための業務改善です。だから、システム導入だけにこだわらず、業務を整理・認識して、本質の改善のための選択肢として「内製アプリ化×SaaS導入×RPA化×運用変更」を適切に判断して実行しています。」
具体的には以下の4つを組み合わせてDXを推進しています。
① 社内インフラ整備(安全で快適な作業環境の構築)
② Microsoft365のフル活用(Teams・SharePoint・PowerAutomate・PowerApps等)
③ SaaSの導入(専門領域に特化した外部サービスの活用)
④ AI活用(Copilot・エージェントの活用)
大切なのは「どれか一つに頼るのではなく、業務の性質に合わせて適切に選ぶこと」だと岡沢様は強調します。「Excelを残してもいいんです。大切なのは、何のためにDXをするのか、という本質を見失わないことです」という言葉が印象的でした。
DX化の4つの効果
2026年現在、岡部のDX推進によって得られた成果は、大きく4つに分類できます。
・【業務効率化】書類業務30%以上削減・残業時間50%以上削減を実現。内製システム構築・RPAの活用・AI・SaaSの導入を組み合わせたハイブリッド型推進の成果。
・【利益・工事成績向上】削減した時間を創意工夫・協議書作成・品質安全管理に活用。追加工事費の受注率アップ、工事評点の平均80点以上を維持し、数々の優良工事を受賞。
・【若手の採用・定着】アナログからの脱却により若手がDX推進役として活躍できる環境を実現。新卒入社数が増加し、定着率100%(2025年11月時点)を達成。
・【知識・ノウハウ継承】DXを介した世代間コミュニケーション活性化により、ベテランから若手へ技術・ノウハウが継承。組織文化の変革にも貢献。
Microsoft365フル活用の実践
使わないともったいない!365の豊富な機能
岡沢様が取り上げたのが、Microsoft365のフル活用です。多くの企業がOfficeソフト(Excelなど)しか使っていない中、岡部はその潜在能力を最大限に引き出しています。
「Microsoft365を契約するとOfficeソフト以外にも非常に多くの機能が使えます。ところが、多くの会社さんでは一部しか使えていないのが実情です。これはもったいないですよ。これらは連動していて、セキュアな環境で利用できる点も大きなメリットです。」
岡部が積極活用しているMicrosoft365の主な機能は以下の通りです。
・Teams:社内チャット・ビデオ会議ツールとして活用。現場からのリアルタイム報告や拠点間コミュニケーション強化に貢献。
・SharePoint:書類の格納・共有ができるクラウドストレージ。社内ポータルサイトとして情報の導線を一元整理。
・PowerAutomate:様々な作業を自動化するRPAツール。Excelの定型業務を中心に、2度手間作業を自動化。
・PowerApps:自社専用の内製アプリを安価に作成できるツール。専門的なプログラミング知識がなくても活用可能。
・Copilot:Microsoftの生成AIツール。文書作成・データ分析・会議録作成などに活用。
SharePointでポータルサイトを構築
岡部ではSharePointを使って社内ポータルサイトを構築しています。お知らせ、各種申請フォーム、共通リンク集、現場別フォルダ、図面・写真・日報など、様々な情報の導線を一か所に集約しました。
「以前は「あの書類どこにある?」という声が絶えなかったんですが、ポータルサイトに来れば何でも分かる状態になりました。情報を探す無駄な時間がゼロになりました。」
PowerAutomateで定型業務を自動化(RPA活用)
PowerAutomateを使ったRPAの活用も積極的です。主にExcelの定型業務の自動化に活用しており、具体的には次のような自動化を実現しています。
・Excelが更新されたらSharePointのリストを自動で更新(2重入力をなくす)
・特定のメールが届いたらTeamsで関係者に通知(見落としゼロ)
・ExcelのデータをSaaSシステムに自動転記(手作業による入力ミス防止)
・Excelを印刷用フォーマットに自動変換(帳票作成の手間を排除)
「こういった2度手間の定型作業を自動化することで、ある現場では1か月に20日・20時間の削減ができた事例もあります」と岡沢様。
内製アプリ事例:納品伝票管理アプリ
岡沢様が特に詳しく紹介したのが、PowerAppsとPowerAutomateを組み合わせて社内で開発した「納品伝票管理アプリ」の事例です。
従来のフロー:現場で受け取った納品伝票をExcelに手入力→写真撮影→スキャン→保存→過積載チェック。これを担当者が一つひとつ手作業で行っていました。
新しいアプリでは、この流れが一変しました。
・スマホアプリを開き、現場を選択
・納品伝票をスマホカメラで写真撮影するだけ
・OCRが自動で伝票の記載内容を読み取り、Excelに記録
・伝票画像がSharePointの現場別フォルダに自動保存
・車番から最大積載重量を参照し、過積載チェックも自動実行
「よくよく話を聞いてみると、その伝票に対してトラックが過積載していないかどうかのチェックも必要だという話があった。だからその機能も組み込みました。現場の業務を深く理解した上でシステムを作ることが、本当に使われるシステムを生み出す鍵だと思っています。」
ユーザーはアプリを操作するだけ。内部ではMicrosoft365のさまざまな機能が連動して動いています。「こういった内製アプリを安価に作れるのが、PowerAppsの最大の強みです」と岡沢様は語りました。
SaaS選定の哲学──「使われないツールに意味はない」
SaaSを活用するメリット
自社だけでは対応しきれない専門領域については、積極的にSaaSを活用しています。SaaSのメリットとして岡沢様が挙げたのは以下の3点です。
・専門分野に特化しており、様々なユーザーの声が踏まえられた機能が揃っている
・メンテナンスの工数がかからない(バグ修正・機能追加はサービス側が対応)
・他のシステムとAPI連携ができる(Microsoft365などとの連携も容易)
岡部のSaaS選定基準
ただし、岡部はSaaSであればなんでも導入するわけではありません。明確な選定基準があります。
① 社外とのやり取りが発生する(セキュリティ面も含めて検討が必要)
② ユーザーが使いやすい(現場の職人でも迷わず使えるか)
③ 費用対効果が見合っている(削減効果がコストを上回るか)
中でも特に重視されているのが「②使いやすさ」です。
「導入しても使われないと、意味がないですから。システムを導入することが目的になってしまって、誰も使わないというのが一番もったいない。現場の職人さんにもストレスなく使ってもらえるかどうかを、最も重視しています。」
「使われるかどうか」を最重要視するという哲学が、岡部のDX推進を成功に導いた大きな要因のひとつです。どれだけ高機能なシステムでも、現場で使われなければゼロ。このシンプルな真実に岡部は徹底的にこだわっています。
「GENBAx点検」の導入──現場の点検業務を丸ごとデジタル化
岡部が選んだSaaSは「「GENBAx点検」」
厳しいSaaS選定基準をクリアして岡部が採用したのが、SORABITO株式会社が提供する「「GENBAx点検」」です。
「職人でも使える簡単操作というのが、選んだ一番の理由です。これが「使いやすさ」を最重視する私たちの基準にまさにフィットしていました。」
「GENBAx点検」が解決した問題
導入前の点検業務は、紙やExcelで行っていました。その問題点を岡沢様は率直に振り返ります。
「様々な点検表を紙やExcelで作成していました。そうすると、印刷・配布・回収の手間、紙をスキャンして保管する手間、提出状況(漏れていないか)の確認の手間──これらが毎日発生していました。「GENBAx点検」を使ったら、これらの手間がすべてゼロになりました。」
特に「スキャンして保存する」作業が大きな手間でした。毎日の積み重ねがじわじわと現場監督の残業時間を押し上げており、この解決が急務でした。
「GENBAx点検」の使い方──3ステップで点検開始
「GENBAx点検」の実際の使い方は非常にシンプルです。
① QRを機器や設備に貼る
② スマホのカメラでQRを読み込む
③ 点検フォームが表示され、すぐに点検開始
特筆すべきは、「アカウント発行不要で点検が始められる」という点です。
「職人さんにアカウントを作ってもらう手間もない。QRを読み込めば誰でもすぐに使える。これが現場での定着を大きく後押ししました。もちろん、アカウントがある場合はさらに便利に使えますが、まずはアカウントなしで始められることが重要なんです。」
オフライン対応で現場のどこでも使える
建設現場特有の課題として、トンネルや山間部など電波が届かない場所での作業があります。「GENBAx点検」はこの問題も解決しています。
「オフラインでも点検記録ができて、電波が通じるところに出たら自動送信されます。現場監督が「電波がないから使えない」という言い訳ができなくなりました(笑)。これは現場で非常に重要な機能です。」
屋外作業が多い建設現場では、通信環境を問わずに使えることが普及の前提条件となります。このオフライン対応が、建設・土木現場での活用を強く後押しします。
豊富なテンプレートとオリジナル帳票作成機能
点検表の作成においても、高い柔軟性を発揮します。
・既存のテンプレートから参照して即座に使い始められる
・オリジナルの点検表を自社仕様でカスタマイズして作成できる
・バックホウなどの重機・ドローン・発電機など、あらゆる機器や設備に対応
「安全パトロールの点検表、重機の日常点検表、ドローンの飛行前チェックなど、様々な点検業務を「GENBAx点検」で一元管理できます」と岡沢様は語りました。
具体的な削減効果:1現場あたり毎月約7時間
「GENBAx点検」の導入による具体的な削減効果を、岡沢様は詳細な数字で公開しました。
| 作業内容 | 導入前(月あたり) | 導入後 |
| 印刷・配布・回収(週1回10分) | 40分 | 0分 |
| 紙のスキャン・デジタル保存(1日1回5分) | 100分 | 0分 |
| 記載内容・提出漏れの確認(1日1回10分) | 200分 | 大幅削減 |
| 発注者説明用の資料準備 | 60分 | 0分 |
| 合計削減効果 | 400分以上 | 月7時間以上 |
費用対効果についても明確なシミュレーションが示されました。
「現場ごとに利用料が月2万5000円です。人件費の時間単価を3000円とすると、月8時間以上削減できればペイします。実際に7時間以上削減できているので、コスト的にも十分見合っています。これが数現場に広がれば、さらにインパクトは大きくなります。」
SORABITOのサポート体制への高い評価
「GENBAx点検」を選んだ理由のひとつとして、SORABITOのサポート体制への言及がありました。
「SORABITOさんは建設現場の経験者が多いんです。だから我々の現場をよく理解してくださっていて、事例もたくさん教えてくれます。「あ、こうやって使うといいですよ」という提案が的を射ている。本当にいい会社ですよ(笑)。我々の事業とも非常にマッチしています。」
現場経験者が多いサポート体制であることが、「使い方がわからない」「現場に合った活用法が知りたい」という声に的確に応えることにつながっています。
DX化がもたらした成果
57%の残業時間削減(土木ソリューション部)

最も象徴的な成果が、残業時間の大幅削減です。
「土木ソリューション部では残業時間を57%削減できました。しかも、売上は上がりながらです。DXで時間を生み出して、その時間を価値のある仕事に使う──この好循環が実現できています。」
一般的に「残業削減=生産性低下」というイメージがありますが、岡部の事例はそれを覆します。時間の使い方を変えることで、同じ人員・あるいはより少ない工数で、より高い成果を出すことが可能になっています。
書類業務時間を30%(約600時間)削減

書類業務の削減効果も具体的な数字で示されました。国土交通省発注の1億5000万円規模、工期7ヶ月の工事における実績です。
・参加人数:3名
・工期:7か月
・1日あたりの稼働時間:8時間(残業2時間含む)
・稼働日数:月20日
この条件下で、書類業務時間を約600時間(全体の約30%)削減することに成功しました。点検業務だけでなく、日報・報告書・工事写真整理など、あらゆる書類作業にデジタルを活用した結果です。
削減した時間を「価値ある仕事」に再投資
岡沢様が特に力を入れて語ったのが、削減した時間の「使い道」です。
「現場の所長は本当に忙しい。仕様変更があれば追加費用を得るための協議書の作成、工事評価点を上げるための創意工夫の検討、安全・品質の管理、後輩教育──これだけのことをやらないといけない。2度手間の書類業務にかけていた時間を削減するだけで、別の価値を生むための時間が生まれるんです。所長も後輩との関係も良くなり、プライベートも充実します。」
実際に削減した時間を活用しているのは以下の4領域です。
・協議書作成・創意工夫の検討 → 追加工事費の受注機会増加、工事品質の向上
・品質・安全管理の強化 → 事故防止・クレーム減少・信頼の蓄積
・後輩教育・社内コミュニケーション → 組織力強化・人材育成
・家族との団らん・プライベートの充実 → 社員満足度・定着率向上
工事評点の向上と多数の受賞実績
時間を有効活用することで工事の質が向上し、結果として多くの賞を受けています。令和7年度の受賞実績(抜粋)は以下の通りです。
・国土交通省 工事成績優秀企業 受賞(5年連続)
・ICT人材育成推進企業等 受賞(8年連続)
・生産性向上技術活用表彰
・優良工事局長表彰・優良建設技術者局長表彰
・砺波土木協会優良土木工事表彰
・国土交通省 インフラDX大賞 優秀賞
「時間が無駄な2度手間作業から価値のある仕事に使えるようになったことで、良い協議ができ、創意工夫も充実しました。工事評点は平均80点以上を維持できており、これがまた次の工事の受注につながっています。追加工事率もアップしています。」
新卒採用の安定化と定着率100%
若手採用・定着の面でも目覚ましい成果が出ています。
「4年前から採用活動を強化して、安定した新卒採用ができるようになりました。そして過去3年間(昨年まで)の定着率は100%です。これは本当に嬉しい成果ですね。」
社員数の推移を見ると、2021年度の90名から2025年度には137名へと増加。さらに10代・20代の若手比率も年々高まっており、2025年度には全体の約34%に達しています。
若手が増えた理由について、岡沢様はこう語ります。
「若手はDXをむしろ好む。採用面接でも「会社がDXを積極的に進めている」という点が評価されています。DX推進役として若手が活躍できる場が増えたことで、入社後も生き生きと働いてくれています。アナログからの脱却が、採用競争力を大きく高めています。」
DXがもたらした意外な副次効果
アンケートを通じて明らかになった副次効果も見逃せません。
「若手社員の活躍の場が増えたというだけでなく、若手社員と年配社員の交流が増えたという声が多くありました。DXを推進する中で、若手が年配社員にシステムの使い方を教える場面が生まれる。これが、コミュニケーションの活性化や、ベテランの知識・ノウハウが若手に継承されることにもつながっているんです。」
DXは単なる業務効率化のツールではなく、組織の文化・世代間コミュニケーションさえも変える力を持っていることが、このアンケート結果からも示されました。
建設土木特化のDX化支援サービス
「うちには無理」という思い込みを超えて
セミナーの後半、岡沢様は岡部の新たな取り組みとして、「建設土木特化のDX化支援サービス」を紹介しました。その前置きとして、力強い言葉がありました。
「私たちは地域の中小企業です。大手企業だからできたわけじゃない。本気でやれば、こうして実践でき、見える実績を出すことができました。多くの会社で「DXを専任できる人がいない」「片手間では進まない」という課題があります。だから、私たちがサポートします。」
この言葉は、会場の参加者に大きな勇気を与えました。同規模・同条件の建設会社が実際にやり遂げた事実は、「うちには無理」という思い込みを打ち崩す力があります。
DXが進まない本当の理由
多くの建設会社がDXを進められない根本的な理由を、岡沢様は明快に指摘しました。
「DXを専任で推進する人材を確保できていないんです。かといって、誰か今いる社員にDX推進担当をお願いするとなると、普通の仕事はそのまま継続。兼任になると時間が取れなくて、結局進まない──これが多くの会社で起きている実態です。」
サービスの本質:専属DX人材を持つのと同じ効果
この課題を解決するために岡部が立ち上げたのが、「建設土木特化のDX化支援サービス」です。このサービスの本質は「専属のDX人材を雇用することに近い」という点にあります。
・社員を新たに採用するよりも安価に利用できる
・継続的に時間を確保でき、途切れなくDX推進に関われる
・実務レベルでDX推進に関わる(理論だけのコンサルではない)
・ITと土木業界の両方の知識を持った人材がサポートする
「コンサル担当、インフラ担当、開発担当、施工知識担当の4つの役割を持つチームが揃っています。プログラマー、インフラ・セキュリティの専門家、ITコンサル、IT販売経験者など、各部門のプロが提案します」と岡沢様は説明しました。
岡部ならではの6つの強み
このサービスが他のコンサルやITベンダーと大きく異なる理由として、岡沢様は6つの強みを挙げました。
① 土木工事の実践知識
総合建設業の会社だからこそ、個社ごとの業務を理解し、的確なアドバイスができます。システム導入を提案するITコンサルとは違い、実際に現場をやっている人間の目線でアドバイスします。現場の所長が「これは使えない」と感じる理由も、すぐに分かります。
② 実証済みの効果事例
私たちが実体験として得た効果をもとに、個社ごとの要望に合わせた形で提供できます。机上の理論ではなく、実際に動いた事例でお話しするので、説得力が違います。
③ 失敗経験からの学び
我々はチャレンジして何度も失敗しました。一元管理のシステムを入れてうまくいかなかったり、現場に定着しなかったり。その経験から、正しい進め方や正しいツールの選定ができます。「この方向性は失敗する」という勘所を持っています。
④ IT業界プロチームによるサポート
コンサル担当・インフラ担当・開発担当・施工知識担当が一体となったチームです。CopilotやDXツールの指導、セキュリティの設計、業務アプリの開発まで、各部門のプロが分担してサポートします。
⑤ 建設特化の総合的支援
他のサービスではあまりない、業界経験×IT経験をもとにした支援です。DXだけでなく、協議書の作成支援、創意工夫の提案、工事評点の向上まで、総合的にご相談いただける点が大きな差別化ポイントです。
⑥ 社員に定着させるノウハウ
ツールを導入するだけでなく、現場の社員に実際に使ってもらうためのノウハウを持っています。「入れたが使われない」という最も多い失敗パターンを避けるための具体的な取り組みをアドバイスできます。
支援の進め方──4つのSTEP
STEP1:現状業務ヒアリング・課題の整理
個社ごとに業務内容を丁寧にヒアリングして整理し、課題をピックアップします。現状(ASIS)と目指すべき姿(TOBE)を一緒に考え、どこから手をつけるべきかを明確化します。まず「見える化」することが最初の重要なステップです。
STEP2:費用対効果の算出・解決方法の検討
すでに何かを導入されていたり、使い続けているツールがある場合もあります。それらを踏まえた上で、どんなDXが適しているかを検討・提案します。かかる費用に対して削減できる効果を定量的に算出し、経営判断の材料を提供します。
STEP3:優先順位決め・KPI設定
費用対効果が高いものや経営課題に直結するものを整理して優先順位を決めます。いきなり大きな目標を立てるのではなく、小さな目標から始めて成功体験を積み重ねる進め方をお勧めしています。
STEP4:導入定着支援・効果測定
現場説明の段取り案をもとに導入プロセスを設計します。段階的な導入で現場への定着を図りながら、効果測定を継続的に行い、DXの成果を「見える化」しながら進めていきます。成果が見えることで、社内のDXへの理解と協力が高まっていきます。
質疑応答ハイライト
セミナー後半の10分間は質疑応答タイムとなりました。会場・オンライン参加者から活発な質問が寄せられ、現場目線のリアルな情報交換が行われました。ここでは特に参加者の関心が高かった3つの質問を取り上げます。
Q:すべての点検を一元管理するシステムはないのか?
会場からは「できれば一元管理したい。そういうシステムはどこにあるのか?」という質問が上がりました。実際の現場目線からの、非常にリアルな問いかけです。
岡沢様の答えは、自身の苦い経験に基づくものでした。
「我々も最初は一か所で一括管理したいと思って、統合型のソフトを試したことがあります。でも、現場ごとに柔軟な対応が必要な建設業では、一元管理システムがなかなか合わないケースが多い。それが私たちがハイブリッド型の考え方にたどり着いた理由です。「GENBAx点検」は点検に特化したツールとして割り切って使うことで、抜群に使いやすい。「完璧な一つのシステム」を求めるよりも、用途に合ったツールを組み合わせる方が、現実的かつ効果的です。」
Q:職人にアプリを使ってもらうための工夫は?
「年配の職人や技術者にアプリを使ってもらうのが難しい。どうやって協力を得ているのか?」という、多くの企業が直面するリアルな課題に関する質問も上がりました。
「心理的なハードルをいかに下げるか、というのが一番重要です。難しいシステムだと、そもそも使ってもらえない。その点、「GENBAx点検」はQRを読み込んで始めるだけ。最初の一回だけ教えれば、その後は使えるようになる人がほとんどです。あとは、安全に関わることですので、「命に関わる点検だからこそちゃんとやろう」という動機付けも大切。安全大会や朝礼でしっかり意義を伝えることで、協力が得られやすくなります。」
さらにこんな言葉も続きました。
「いくつかの心理的なハードルをどれだけ下げられるかを重要視しています。様々な会社の安全大会などでこのツールの紹介をする機会もあります。一回使ってもらえれば、それほど難しくないことが分かる。最初の一歩を踏み出しやすくする仕組みが、「GENBAx点検」の強みだと思っています。」
まとめ──建設業のDXは、今すぐ始められる
今回のセミナーを通じて浮かび上がってきたのは、「DXは大手企業だけのもの」という思い込みへの、力強い反証です。
富山の中小ゼネコン・株式会社岡部は、2021年からの5年間で残業時間を57%削減し、書類業務を30%削減し、新卒採用を安定化させ、工事評点を平均80点以上に維持し続けています。これらはすべて、「ハイブリッド型DX推進」という実践的なアプローチと、現場で本当に使われるツールへの徹底したこだわりによって実現されたものです。
そして、その取り組みを支えた重要なSaaSのひとつが、SORABITOの「「GENBAx点検」」です。QRをかざすだけで始められるシンプルさ、アカウント不要の手軽さ、オフラインでも使える堅牢さ──この三拍子が「使われるツール」の条件を満たし、現場監督の月7時間削減という具体的な成果をもたらしています。
また、岡部が新たに展開する「建設土木特化のDX化支援サービス」は、「DXを推進したいが専任人材がいない」という多くの建設会社が抱える課題に、実体験を持つプロフェッショナルチームが寄り添って解決する新しい選択肢です。机上のコンサルではなく、実際に現場で汗をかいてきた会社だからこその、実践的で的確なアドバイスが受けられます。
「DXをやらない=若者から選ばれない。これはすでに始まっている現実です。今日から動き出すかどうかで、5年後の会社の姿は大きく変わるはずです。」
岡沢様のこの言葉を、本レポートを締める言葉として引用させていただきます。建設業界のDX化を通じて、社員にとっても、会社にとっても、そして地域にとっても、より良い未来を作っていく──その一歩を、今日踏み出してみませんか。
「GENBAx点検」への問い合わせ・資料請求、または株式会社岡部のDX化支援サービスへのご相談は、下記お問い合わせ先までお気軽にご連絡ください。
株式会社岡部
株式会社岡部は1943年創業(法人設立:1967年1月)、富山県を拠点とする中小総合建設会社です。創業80年超の歴史を持ちながら、近年はDXへの積極的な取り組みで建設業界から注目を集めています。企業理念は「明るい未来を創り、幸せな社会を実現します」。子どもたちの笑顔をつくる空間創造企業として、遊具設計からインフラ整備まで幅広い事業を展開しています。
社名:株式会社岡部 代表者:代表取締役社長 岡部 竜一 所在地:富山県南砺市祖山39 創業:1943年7月(法人設立:1967年1月) URL:https://www.okabe-net.co.jp/
SORABITO株式会社
SORABITOは、「はたらく機械のエコシステムを共創する」をビジョンに掲げ、建設現場に不可欠な機械の調達・利用を支援するサービスを開発・提供しています。建設機械レンタル会社向けサービスである「i-Rentalシリーズ」は、建設会社からのレンタル注文をオンライン化する「i-Rental 注文」、建設機械の点検業務を効率化する「i-Rental 点検」があります。また、建設会社向けサービスである「GENBAx点検」は、建設機械の始業前点検のほか、設備や足場の点検、安全点検などあらゆる点検表をペーパーレス化します。規模や地域に関わらず様々な建設会社様での導入が進んでいます。
社名:SORABITO株式会社 代表者:代表取締役社長 博多 一晃 所在地:東京都中央区日本橋茅場町1丁目9番2号 第一稲村ビル8階 設立:2014年5月 URL:https://www.sorabito.com/
お問い合わせ先:事業推進室 広報担当 marketing@sorabito.com